最三小判H26.1.14(認知無効等請求事件)
2015年08月25日
平成26年1月14日最高裁第三小法廷判決(平23(受)1561号)
1. 事案の概要
X(男)は、Yが自分の子供でない、つまり血縁上の父子関係がないことを知っていました。それにもかかわらず、XはYが自分の子供であると認知しました。XとYは生活を共にしていましたが、一貫して不仲であり、その後別々に生活することになりました。このような事実関係の下、自らYを認知をしたX自身が、実はYは自分の子供ではないと主張して、認知の無効の訴えを提起した事案です。なお、Yにはフィリピンに血縁上の父親がいることが原審の広島高裁で認定されています。
2. 判決要旨
結論として、認知者は、自らが血縁上の親子関係がないことを知りながら認知をした場合であっても、民法786条の「利害関係人」にあたり、自らした認知の無効を主張することができると判断されました。
その理由は、以下のようなものです。
まず、血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知は無効です。しかし、認知者が認知をするに至った事情は様々なので、自ら認知をしたからといって認知者による認知無効の主張を一切許さないのは相当でないということです。
次に、民法786条によって利害関係人による無効主張が認められる以上、認知者自身による無効の主張を一律に制限すべき理由に乏しいということです。
さらに、認知者が認知の効力について利害関係を持つことは明らかであるし、認知の取消を禁止した民法785条によって、無効主張までもが制限されるものではないということです。
このような理由を挙げて、最高裁は認知者による認知無効の主張を認めました。
3. 実務に与える影響
この判例は、一言でいうと、血縁関係のない認知者による認知無効主張を認めた判例ということができます。よって、血縁関係が重視されているとの評価をすることができます。しかし、血縁関係がないからといってこれからも認知者による認知無効主張が簡単に認められるとは言い切れません。なぜなら、本件の特殊事情として子Yに血縁上の父親がいることや、XとYが不仲であり別々に生活していたという事実があるからです。認知者自ら認知無効主張をしても、事情によっては権利濫用などを理由に請求が認められないことがあることに注意しなければなりません。








